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あとがき

「襷の色は違っても」

最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
久しぶりに書いたので、結構突っ込みドコ満載になっちゃいました('ω')

まとめて繰り返して読むと、「おい?なんか話が変わってねーか?」ってトコ、何か所かあるんですけど
気が付かれた人も多いんじゃないでしょうか?

乃木坂・日村サンと設楽サンは学生時代襷を繋いだ仲だった
→日村サンは投てきの選手で、走るのはてんでダメだった

とか。

あえて、しばらくは、書き直しはしません(-ω-)/

前は一気に書き上げていたので、複線とか過去の話とかもちゃんと頭の中に残ったまま書き進められたので、あんまり設定上の「あれ?」って事はなかったと思うんですけど…
もともと、下書きも何も考えずに書いてるので、よくこーいう事が起こってしまいます。

まあ、素人の「作文」と思って許してくださいませませ<(_ _)>

あ、今回もどこに勝たせるか最後まで決めれなかったです。
書き始めた時は、乃木坂か栄京かな?って思ってたんですけどね。


あと、今回の反省として一番あるのが「主役」が結局誰なのかはっきりしなかったって事ですね。
前作でも、色んなメンバーのエピソードを盛り込んだんですけど、主役は「珠理奈」であって、その成長と仲間との絆って事が書きたかったテーマでした。
今回は、自分の中では「こじまこ」を主役にしようと思って書いたんですが、色んなチームやメンバーのエピソードを盛り込みすぎてなんかあっちこっち行ってしまった印象を持たれた方も多いんじゃないでしょうか?

ま、それも私が筋金入りのDDだって事でお許しいただけましたら(*'ω'*)


で…次回作ですが、今のトコ未定です。

また、突然書き始めるかもしれませんので、その時はよろしくお願いいたします。


では。


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113.

5年後…


「絶好のコンディションだね。」
「ってことは、言い訳はきかないって事だよ?」
「わかってる。ね?それよりさ、大丈夫?もたもたしてたら逆に私が前走るからね?」
「わかってるって。」

スタートまであと10分を切った。
心拍数を何度か上げた。アップは十分だ。
はやる気持ちをおさえようと、小嶋真子はそっと目を閉じた。

東京オリンピックの女子マラソンの枠は3つ。
すでに、先に行われた2つの選考レースで、前回のリオオリンピックの金メダリスト・前田敦子と、去年の世界陸上で初めての金メダルを獲得した指原莉乃が好記録で優勝している。新設の、この横浜マラソンは「世界記録を出すために」作られたコースと言われている。快晴、微風。適度な気温と湿度。残り一つの椅子を勝ち取るには、優勝するだけではダメだ。先の二人を大きく引き離す記録が必要になる。

「さあ、そろそろ並ぼうか。」
「うん。奈々…頼むね。」
岡田奈々のゼッケンは51番。招待選手は全員1~30までの番号を持っている。
一般参加の選手は3ケタの数字だ。
岡田のゼッケンは、ペースメーカーであることを意味している。
30km地点まで世界記録を上回るペースでレースを引っ張ること。
それが、このレースで岡田に与えられたミッションだ。

「あのさ…真子、実はね。」
「わかってるよ。奈々。」
「え?」
「ゴールで未姫が待ってるって。なっきーもぴかも。美月もいるってよ。」
「そっか。じゃあ、勝負だね…」
「っていうか、どっちが先に42.195km先で待ってるあの子たちに襷を渡すかって話だよ。」

「真子?オリンピックは?」
「そうだね…それも悪い話じゃないよね。」

二人が軽く拳を突き合せる。
冬の空気の中、乾いた号砲が響いた。





襷の色は違っても


おわり

112.


10区 区間成績 (丸数字は個人区間順位)


1位  聖ヴィーナス大学  大島涼花③
2位  四ッ谷大学     高島祐莉奈④  
3位  栄京女子大学    山田みずほ⑥  

6番目 慶育大学      相笠萌
9位  学連選抜      木下百花②
10位  博多大学      穴井千尋⑦
11位  秋英学園大学    岩田華怜⑪


16位  乃木坂大学     秋元真夏① ※区間新記録


往路優勝 栄京女子大学
復路優勝 聖ヴィーナス大学

総合優勝 聖ヴィーナス大学(初優勝)

金栗賞 小嶋真子(慶育大学)

111.

「松井。お疲れさんだったな。残念だったな…と言ったほうがいいのか?」
「いえ。設楽さんも日村さんも、お疲れ様でした。乃木坂の走り、ずっと見てました。10区のまなったんの区間新…あれで、来年またみんな前を向けますね。」
玲奈が設楽に静かに手を差し出した。柔らかな表情だ。

「なあ、松井。来年に向けて、やっぱり俺たちにはお前の力が必要なんだよ。どうせ、ご老公の事だ、今回の責任をお前に押し付けるつもりなんだろ?どうだ?これからは、ウチの専属って事でやっていかないか?お前が来てくれるなら、俺は監督の座から降りたってかまわないんだが。な、日村さん?」
「ああ。その通りだよ。設楽さんに聞いたよ。お前がハッパかけてくれたから、白石は立ち上がって襷を繋げたんだってな。な、いいじゃんか。お前は、もう立派な乃木坂大の一員だよ。」

設楽、そして日村と握手を交わしながら、玲奈は静かに微笑みを浮かべた。
「いえ。やっぱり私は栄京の松井玲奈なんだなって…思いました。ヘッドコーチとか、そんな肩書きじゃなくてもいい。用具係でもトレーナーでも…雑用でもなんでもやるって言ったら、いくらあの悪代官でも放り出しはしないと思いますし。」
「おいおい、ご老公から今度は悪代官かよ…そこまでして、なあ…日村さん。」
設楽が残念そうに顔をしかめた。
「ま。松井玲奈らしいっちゃーらしいな。」
日村が大きなお腹をゆすって笑った。


「じゃ…選手が待ってますんで…」
玲奈は二人に背中を向けた。
「こらー!何をメソメソしてんだよ!負けて泣くなって何度も言ったろ?みずほ!わかったら顔洗ってこい!今日は、全員焼肉連れて行ってやるから。トラジや叙々苑って分けにはいかないけど…」
「焼肉?まじっすか?私、ムチャお腹空いてるんですけど。」
ひときわ甲高い声がした。玲奈が思わず後ろを振り返る。
「いや…OGは勘弁してくれるかな?っていうか、むしろカンパしてくれるとかじゃないの?ましてや、アンタに焼肉奢るなんて口が裂けても言えないわ、真那。」
「玲奈さん、ちーっす!」
「ちょっと、なんで珠理奈までいるのよ…まったく…」

玲奈が肩をすくめたとき、見たくない人物の姿が現れた。
今村の顔を見て、表情が硬くなるが、それでも毅然とした顔を玲奈は向けた。

「おお、そんなトコにいたのか。なんか、記者が囲み取材をしたいって言っててな。お前を探してたんだよ。」
「はい…わかってます。すべての責任を負う…そういう約束でしたね。」
「俺は、こういうのは嫌いなんだよ。勝利監督インタビューの内容しか考えていなかったからな。」

わかってる。
大丈夫ですよ。ハラワタが煮えくり返る思いは残るが、約束は約束だ。
仕方ない。見事にこの敗戦の幕引きをして、あとはアンタに頭を下げればいいでしょ?
なんでもいいから、私を使ってやってくださいって。
涙の一つや二つくらい流してみせるわよ…

「それでは、今村監督、松井コーチに伺います。連覇を狙った今年の箱根。往路は見事に制しましたが、総合では3位に終わった訳ですが。すばり敗因は何だったんでしょう?」
いきなり?
まったく、どこの社よ?まずは「今の気持ちは?」とか聞くのが流れってモンでしょ?いきなり敗因はってさ…確かに、負けだけどさ…

玲奈がぐっと息を吸い込み、目を閉じた。
そして、目をかっと開く。一気に喋ってしまおう。そして、とっとと会見を終わらせるんだ。

「敗因?うーん、ウチは負けたのかな?」
今村が、とぼけたような顔をして記者に答えた。
周りを取り囲んだ記者の目線が、玲奈から一斉に今村に向く。
「ちょっと教えてほしいんだが。もちろん、ウチが連覇を狙って今年に臨んだ事は、みなさんも知っている通りだ。そして、結果は3位。しかし、これは負けなのか?負けたとしたら、ウチはどこに負けたのか。優勝した聖ヴィーナスか?2位になったライバル・四ッ谷大か?なあ、玲奈。ウチの選手はみな、見事な走りをしたじゃないか?」
「え…ええ。そうですが…」
玲奈は少し…いや、ものすごく驚いた。
目を丸くしたまま、今村の顔を見る。
「私は、今年が初めての箱根でね。戦略とかなんとかは、全然わからなかったからここにいる松井コーチにまかせっきりだった。しかしね、君。君に聞きたいんだが。」
今村は、一番前にいた一人の若い記者を指差した。
「どうだったかね?今年の箱根は?今年の栄京は?」
「はあ…いや、往路の見事な逆転優勝。復路も個々が全力を出し切った走りを見せてくれました。栄京らしさが復活していたと思います。だからこそ、3位という…」
「ふむ。ありがとう。みなさん。今年の結果は実に残念なものになりました。確かに競技は勝たなくては面白くない。しかし、勝負は時の運。全力を出して、栄京らしい走りが出来ての敗戦であれば、我々はそれを堂々と受け入れ、勝者を称えたいと思います。しかしながら、敗戦を糧にしなくては、これもまた意味がない。ウチの選手は多くが3年生以下。きっと、ここにいる松井コーチ以下、この悔しさを晴らすべく臨んでくれるであろうと期待します。」
今村がそこまで言うと、大きく頭を下げた。
玲奈もそれに倣う。

「さあ、もうよかろう?選手が待っているのでな。では、失礼。」
まだ何かを言いたげな記者たちに背を向け、今村は玲奈の背中を軽く押した。
「あ…あの、今村監督…」
「さて…と。これで来年は、どんな言い訳もきかなくなったって事だな。」
今村の表情は渋いままだ。
しかし、どこか緩んだようなところを感じる。

「まあ、俺には難しい政治の話とかなんとかが似合ってるんだよ。」
「政治の話?」
「ああ、お前らいっつも言ってたろ?関東の大学が有利な今の記録会日程とか、海自上設定とか。来シーズンは少しは西の大学も参加しやすくなるはずだからな。」
「いっつも陸連でそんな事ばっかしてたんですか?」
「お前、俺がこっちで何か企んでるとか考えてたのか?」
「いえ…そんなんじゃ…」

玲奈が下を向いた。
笑いが抑えられない。
この人には…いっぱい喰わされてたってことなのか…

「おーい。真那、珠理奈。みんなで焼肉行くよ!全員ごちそうしてやるから。」
「おーさっすが、玲奈ちゃん。ね?ね?どこ行くの?私、やっぱトラジがいいなー?」
「は?何冗談言ってるの?すたみな太郎に決まってるじゃん。」
「えー。またあ?」
珠理奈の声にどっと笑い声が上がった。
「おい。玲奈。俺も出すから、せめて牛角くらいにしようや。真那がいるから、一番安い食べ放題のコースな。」

春の日差しが傾き始めた。
大手町から少しずつ、熱が引き始めていった。


110.

「なんで優子さんまでいるんですか?」
「いちゃダメか?なんだよ、邪魔もの扱いすんなよな。」
「ちょっとさっしー。優子さん、ずっとさっしーの事ばっか話してたんだよ?」
「私の事?また、ある事ない事言ってたんでしょ?島田。」
「もう、ほんとかわいくないなあ…」

徐々に静けさを取り戻し始めたフィニッシュエリア。
指原莉乃はようやく報道陣からの取材攻勢から解放され、自チームの陣取る辺りへと戻ろうとしていた。島田晴香と一緒にいたのは大島優子だった。やはり取材を受けていたのだろうか、まだ記者エリアの傍にいた。

「遠くからだけど聞いてたよ。シード取ったってのに、反省の言葉ばっかだったな。」
「そりゃそうですよ。今年は優勝狙ってましたからね。」
「ま、そーだろうな。」
大島も博多大を高く評価していたのだろう。指原の不機嫌そうな顔に納得したような答えを返した。
「来年は負けないよ。さっしー。」
「ん?島田、今年、ウチは慶育に勝ったなんて思ってないよ。なんだよ、実質総合優勝争いに絡んでたのと同等じゃねーか。金栗賞まで持ってくし。」
「負けは負けだよ。博多大は、総合9位。ウチは途中棄権。それが結果のすべてだよ。」


慶育大の走りは最後の最後まで見事だった。
10区の相笠萌は、とうとう追いすがる博多大・穴井、学連選抜の木下に影さえ踏ませなかっただけでなく、更に順位を2つ上げた。区間賞を獲得した、乃木坂大・秋元に僅か1秒差。これまでの区間記録を1分以上更新する見事なタイムだ。
学連選抜の木下も、また博多大の穴井も素晴らしい走りを見せた。
シードがほぼ確定した、残り3キロ。二人はそれを守ろうともせず、最後までお互いの気持ちを削り合うようなしのぎ合いを見せた。

最後の直線、100mで見せた穴井の鬼気迫る表情と、ゴール後に倒れこみ意識を失って担架で運ばれた木下の姿が、その激戦を物語っていた。


「そういえば…」
「ん?どした、島田。」
思い出したように、島田がすっとんきょうな声を上げた。
「あ…あの、優子さんにも聞きたいんですけど。」
「ん?なんだよ?」
「ウチの真子…見てくれました?」
「ああ。もちろん。5区のエキスパートだった私がチェックしない訳ないだろ?」
「さっしーが…私に似てるって言うんですけど。あと、ウチの横山も。優子さん、どう思います?」
「真子が?小嶋真子が島田晴香に似てるって?指原、お前そんな事言ったのか?」
「言いましたよ。優子さんもそう思いませんでした?」
大島が視線を宙に泳がした。頭の中で何かを思い浮かべているような表情だ。

「うーん…島田さあ…悪いけどさあ。」
「はい?」
「少なくとも、真子は可愛いと思うぞ?真子スマイルとか言われて人気もあるじゃないか。ジャイアンって呼ばれてたお前と比べるのは…」
「いや、優子さん、ルックスの話じゃないっすよ。それに、何ですか?私、走りならともかくルックスで真子に負けてるつもりはないっすけど?」

島田が真面目な顔で大島に言った。

「まじで?」
「まじ?」
大島と指原が同時に島田に聞いた。
「マジに決まってるじゃないですか!」

大島と指原が腹を抱える仕草で笑った。
同時に同じ言葉を島田に返す。
「うるせーよ。島田。」


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